2020年12月24日木曜日

知らなかった・・・

 どこからか聴こえてくる、ジョンレノンのハッピークリスマスに誘われて歩き出す、駅前の交差点。商業ビルに貼り付いた大画面の中では、アイドルグループが見事な作り笑顔を振りまいていた。

それが目映く視線を逸らすと、白い息をハーっと吹きかけ、寒さを楽しむ恋人達。今年は少し遠慮気味に、それでも目いっぱい距離を縮めて、近づくクリスマスが待ち遠しそう。

 

皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

昨年末とはすっかり様子が変わり、何をやるにも「感染」「予防」の文字が頭をかすめる毎日ですが、年末の片付けと新年の準備は進んでいますか?食品課の舘入です。

 いつの頃からか年末になると、ジョン&ヨーコの「ハッピークリスマス」がかかるようになった。70年代前半にリリースされたこの曲は、果たして「クリスマスソング」なのだろうか?ベトナム戦争を意識した反戦歌の意味合いが強い作品だと考えるレノンファンには、「赤鼻のトナカイ」と同じラインナップで聴こえてくる「ハッピークリスマス」は、ちょっと居心地が悪い。でも、冬はレノンの少しハスキーな歌声がよく合うのはなぜだろう。

「12月8日はレノンの命日だな。40年も経つんだよな。」そんなことを考えつつ、

ちょっとディープな露地を進むと、駅前の大画面から抜け出てきたような少女たちが、

キャッキャ言いながら店先のイケメン兄ちゃんと会話を楽しむ、雑多な通りに続く。

 私の目的地は、その通りの手前にあるスーパーマーケット。まとめて買いこむので、帰りはいつもサンタクロースよろしく大袋を担ぐことになる。

カッコ悪いが知ったこっちゃない。


地元では手に入らない食材や加工品を買い物カゴに入れ、レジで諭吉を1枚払うと、

数枚の英世と小銭が戻ってきた。それを受け取った瞬間、心臓がドクンドクンと音を立てる。

素早く財布にしまうと、100円ショップで買った大きな袋に、食材を無造作に詰め込み、

足早に店を出る。4㎏はありそうな袋を担ぎ、大画面の駅まで10分。そこにはアイドルの笑顔はもうなく、小池氏のアップが映し出されていた。


<帰りの電車の中・・・私の頭の中では・・・>

●冷たいスチールの机に座らされた私と、強面の刑事が2人●

「これはどうしたんだ?」

「はい・・・スーパーのお釣りです・・・」

「調べはついてるんだ!本当のことを言え!!」

「ですから…スーパーで…」

「仲間は何人だ?お前一人じゃないだろう」

テレビドラマの1シーンのような想像をする。


帰宅すると手洗いもそこそこに、スーパーで受け取ったお釣りの500円玉を取り出す。

親指と人差し指で挟み左右に振ってみたり、顔を近づけたり離したり、その間、心臓は再度ドクンドクン。

 

その500円玉は不気味な輝きを放ち、まるで外国のコインを模したチョコレート菓子の包みのように鮮やかだった。覗き込んだ顔がはっきりと映り込み、一点の曇りもない。表面(おもてめん)は桐の葉と「日本国」「五百円」の文字が白っぽく、くっきりと浮かび上がり、まるでおもちゃのコインのよう。



「ニ.セ.ガ.ネ」の4文字が浮かぶ。

狭いアジトに籠り、見たこともない機械で、ニッケルを「インチキコイン」に変えていく自分の姿を想像する。いやいやいや、私はスーパーで受け取っただけだよ。

 この「ニセガネ」を駅の券売機に入れたら、パスモのチャージはできるのだろうか?

その後、気づかれずに流通してしまうのだろうか?

私にお釣りとして渡したスーパーの店員は、気が付かなかったってことだもんな。

心臓の鼓動はドクンドクンからザワザワに変わった。

 

警察に行くのがいいのか、近所の交番でもいいのか。

それとも財務省?金融庁?庶民には縁のない名称を思い出す。

これを持って行ったら、別の500円と交換してくれるのかな?とセコイことも考える。

「記念に取っておく」なんてダメだよな。いろんな思いが脳裏を横切る。



↑スマホのカメラレンズが映り込む


「続きまして、偽造硬貨のニュースです。

〇月〇日、○○区の駅券売機から、偽造500円硬貨が発見されました。防犯カメラの映像から、近所に住む〇十代の女性が使用したものと特定し、現在取り調べを行っています。」

そんな、テレビのニュースがちらつく。


某銀行に勤務する友人のLINEを開いた。しかしヤツは毎年暮れになると、LINEもメールも返ってこない。ヤツの年末は忙殺である。仕方なくスマホを閉じた。

「偽造コイン」 「特徴」 「見分け方」 いくつかのワードでググってみることにした。

出てきた情報を頼りに、ルーペ越しに細かいところまで調べる。偽造防止にいくつもの仕掛けが隠されている日本の硬貨。感心しきりだが、細かすぎて判別などできず、決め手もない。しかし不気味に輝く硬貨は確かにここにある。




          

どれくらい「ニセガネ」とにらめっこしただろうか。気がつけば時計の短針が二回りもしていた。


頭の中は「ニ・セ・ガ・ネ」に支配されてはいたが、夕食の支度はせねば。

1日1食生活も10数年・・・。唯一の食事である夕食は充実させたい。

先日、会社で片づけをしていて、出てきたお米をもらってきた。宮城のささにしき。

 3.11の震災後から、お米は宮城産、福島県産を購入している。長い目で見て、被災地にお金が落ちることで支援の末端になればとの、ささやかな思いからである。

マクロビオテックを学んでからは玄米食だが、宮城県、福島県産を購入するのは変わらない。そんな個人的なこだわりで、白米ではあるが宮城県産のお米は嬉しい・・・。

だが、3年前のお米なのだ。古米であるのを承知でもらってきた。食べられる食材を捨てるのは、命に対する冒涜のようで忍びない。私は食の好き嫌いはなく、出されたもの、作ったものは残さず食べるのがポリシーである。


さてと、古古古米をおいしく食べるには・・・。

よし!久々に「ヌルンジ」にしよう!!韓国のおこげ飯。



         

薄く伸ばしたご飯を、フライパンでじっくり焼いておこげ煎餅を作る。気長にパリパリになるまで小一時間焼く。

 そのままパリパリ食べてもいいし、お茶づけのようにお湯をかけて、フニャフニャにして食べてもいい。私はそのままパリパリ派なのだが、今日はお湯をかけ、タシダ(顆粒だしの素)を軽く振り、キムチとからし菜の漬物をトッピング。「韓国沢庵」がないのが残念だ。

 保存はきくがヌルンジだけでは飽きてしまう。

そうだ!「ジュ」も作ろう。「ジュ」は「お粥」のこと。韓国粥は具が沢山入りおいしい。

少し発酵が進んだキムチと冷蔵庫の野菜を刻み、炒めてからご飯を煮る。面倒だが鰹節で

とった出汁で煮ると抜群においしくなる。土鍋でコトコト。

(見た目がイマイチなので画像はありませんが、超おいしいです)

おかずには「ヤンニョンチキン」と、「辛いチャプチェ」を作る。チャプチェの具には

テンダイの「細切り筍120g」を入れた。

柔らかく、長さも太さも絶妙です!価格はたった¥98-ですよ。と~ってもお買い得です。



チンジャオロースにするのが一般的だが、炒め物全般、春巻きやスープにも。

「ジュ(韓国粥)」にも刻んで入れた。

 ヌルンジとジュ、チャプチェにヤンニョンタック、これはもうマッコリを開けるしかない。



BGMは80年代の韓国歌謡曲。イサンウン氏の「ダムダディ」という歌が大好きである。

カセットテープしかなく、いつか聴けなくなってしまうかもしれないとヒヤヒヤしている。

最近のK-POPアイドルのような煌びやかさはないけれど、80年代らしいファッションと、中性っぽい笑顔がキュート。

昔の韓国の素晴らしき歌謡曲(K-POPではありません)を聴きながら、静かに夜は更けていく。


「ニセガネ」はどうなったかって? 訊かないでおくれ。

どうやら「ニセガネ」ではなさそうなんだ。当たり前だろっ!って、突っ込みが入りそうだ。

「プルーフ硬貨」ってご存知ですか。

鏡面研磨された収集用のコインで、普通に使うこともできるが、500円硬貨なら500円の価値しかないとのこと。

収集用の硬貨がこんなに不気味に輝いているなんてご存知でしたか?


 「やい!こんな紛らわしいコインを使った人、反省せいよ!」と、言ってみたが・・・

悪いのはその人じゃない。物事を知らない私の方だよね。

「ニセガネ」の持ち主だった人は、押し入れの奥から出てきた収集用コインを、思い切って手放しただけなんだよね、きっと。

あらぬ妄想が、妄想で終わって良かったが、本当にニセガネだったら、どうなるんだろうと、また別の妄想が頭を駆け巡る週末であった。


 

都会の景色は、どこかジグソーパズルに似ている。小さなピースの一つ一つは、まるで繋がりなどなさそうなのに、何かのきっかけで、崩れない大きな絵を作り上げる力を発揮することがある。

 世界的危機の今、各国の人々の頑張りを見聞きするたび、以前の美しい絵を取り戻すため、小さなピースをつないだら、ひとりひとりが、今一歩自覚を強めたら、きっとうまくいくのではないだろうか。


年末年始は巣籠りなさる方、テレビを見ながら、ゲームをやりながら、

「おいしいむき甘栗」 「パクっと焼いも」がおすすめですよ。

 


来年はコロナで始まっても、コロナで終わらない年でありたいですね。

どうぞ、良いお年をお迎えください。


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